このブログへのアクセスありがとうございます。
この記事は、グラフィックデザイナー歴20年以上のネコヒートが書いています。
今回は「絵本づくり」をテーマにした企画。
みなさんは「おべんとう絵本」なる絵本づくりトレーニング法を知ってますか?
「おべんとう絵本」は、 絵本作家・長谷川集平先生が開発した絵本づくりを体験しながら学べるトレーニング法のひとつのこと。
この方法のメリットは次の3つ。
- マルを描くことができる人ならば誰でもつくることができる
- 100円ショップで売っている道具や材料で簡単につくることができる
- 絵本制作の基本的なアートディレクションに関して理解が深まる
子どもから大人までが手軽に取り組むことができ、さらに絵本とはなにか?どうやって絵づくりをすれば “絵本” になるのか、までがわかってしまう優れたトレーニング法。
そして、なんといっても心の奥底にしまっていたはずのできごと(トラウマ)が絵本になってしまう、なんていうことがあるかも…。
じつは、今回記事にした理由はそこなんです。
わたしが「おべんとう絵本」を試しにやってみたら、なんと、幼かった頃の体験が絵本になってしまった…この「おべんとう絵本」には、心のトラウマを解放するチカラがあるんじゃないか、というお話を今回はしてみたいと思います。
「おべんとう絵本」とは
冒頭でも触れた通り、「おべんとう絵本」とは、絵本作家の長谷川集平先生のお作りになった絵本づくりトレーニング法のこと。
「おべんとう絵本」だなんて変わった名前ですよね。
このネーミングは、実作をはじめるにあたって、紙のまんなかに「日の丸」のように丸をグリグリ描く工程がありまして、このあたりから名前がついたと思われます。
今回、参考にしたのは次の書籍。
「絵本づくりトレーニング(筑摩書房)」と「絵本づくりサブミッション(筑摩書房)」。
実はこれらの本、10年以上前から大切に持っているものです。
飽きっぽい自称創作家として手当たり次第にいろいろなことにチャレンジしていた頃、「絵本」もターゲットのひとつになっていて、その頃出会ったのが「絵本づくりトレーニング」でした。
内容は、長谷川先生が開いている絵本講座での生徒たちとのやりとりをそのまま本にしたような感じで、ワイワイ楽しく絵本づくりをしている臨場感みたいな熱も感じられ、とっても楽しい本になっています。
そして、この本の一番スゴいところ。
それは、長谷川先生が絵本のエッセンスや奥義を惜しげもなく披露してしまっているところ。
具体的には、絵本とは「めくる効果」だと仰られております。
詳しくは「絵本づくりトレーニング」をお読みいただくとしまして…。
そんな奥義を体感できるのが、絵本トレーニング法のひとつ「おべんとう絵本」というわけです。
一方、「絵本づくりサブミッション」の方は、「絵本づくりトレーニング」を補完するような内容になっていますが、非常に内容が濃いです。
とくに長谷川先生ご自身の作品「土手の上で」のアートディレクションに関する秘技を詳細にレクチャーしてしまっているところは必見!
ぜひ「絵本づくりサブミッション」の方も手に入れて読んでみて欲しいと思います。
「おべんとう絵本」作成手順:制作中
ただいま制作中です。
「おべんとう絵本」で検索して確認してみてくださいね。
ネコヒートのおべんとう絵本:初期配置
さて、手順通り作った「おべんとう絵本」は次のような配置関係になりました。
ぜんぶで15見開き。
15見開きを何度もパラパラめくって見ながら、どうにか絵本にならないかをイメージしていくわけです。
考え方の切り口は、
- 自分の体験と結びつきそうな図形の配置の一致が見つかったところから考える
- ふいに出た言葉と図形が結びついたところから考える
- イメージしやすい図形のページから考えてみる など
面白そうでしょう?
1
2
3
4
5
6
7
8
10
11
12
13
14
15
何度も何度もめくりながら、あれやこれやと物語を考えていく行為って、一見、大変そうですよね…。
はじめは「そんなことできるのかな?」と思ったものです。
しかし、内心ワクワクもしていました。
なにかが始まる前の、未来を、自分の手で作るような期待感…。
ふだんボーヨーと生きている自分からなにが出てくるんだろう…という、
自分の可能性を試しているかのような感覚…。
みなさんなら、どんなことをイメージして、
どんなコトバをつけて、絵本をつくりますか?
わたし自身は、
遠い遠い昔の、
小学生だった頃の、
苦い思い出が、言葉になって、現れてしまいました。
少しビックリ。
次は、そのことについて書きますね。
遠い昔の思い出が
それってトラウマ?
さて、何度もパラパラめくって、図形と物語が一致しないものか、適当な言葉を探して思案し続けて2週間。
なんとか物語っぽいものが出てきたなと思ったら、それはなんと小学生のときの記憶でした。
それは、とっても悲しくてイヤな思い出。
小学校低学年時代の「自転車盗難事件」でした。
パッとひらめいたタイトルは、
「自転車がない」
そのままなんですけどね…。
下の画像は、手作りした「おべんとう絵本」の実物です。
自転車盗難事件
小学校低学年の頃、わたしは自転車を持っていませんでした。
正確には、持っていないのではなく、盗まれてしまったんですよね。
はじめて買ってもらった自転車は、5段ギア付きのカッコいいやつで、とっても気に入っていたんですが…。
買ってから1週間くらいで盗まれてしまい、それ以降も、買ってもらっては盗まれての繰り返し。
今、思えば、ギャンブル好きの父が、負けのカタに持って行っていたのかなぁと思えなくもない。
確認するスベはありませんが、自転車って、そんな何回も盗まれるものでしょーかね?
そして、自転車をもっていない少年時代のわたしは、友だちと遊ぶときは、「走ってついていく」というハメに。
いやあ、大変でしたよ。友だちはみんな自転車に乗って移動しているわけで、そのスピードにずっと走ってついていくのは、本当に大変でした。
同級生のお母さんも「○○くん、また走ってんの?」と呆れていましたし。
友だちもやっぱり毎回後ろに乗せるのはイヤだったようで、10回に1回くらいしか後ろに乗せてもらうことはありませんでした。
とくにキツかったのが、当時、笹塚に住んでいましたが、走って新宿の方までいったとき。
大人になってから考えると、さほど遠くもないのですが、
小学校3年生か4年生の行動範囲を超えていましたね。
行きに必死に道を覚えて走ったつもりが、案の定帰りは迷子に…。
パニックになりながら、帰り道を探しました。
最終的にどこをどう帰ったのかわかりませんが、見慣れた笹塚の風景画見えたとき、心の底からホッとしたことを覚えています。
しかし、その影響からか、外で遊ぶことが億劫になり、家にこもって遊ぶインドア派な少年になっていきました。
今回の「おべんとう絵本」では、そのときの懐かしい(けど苦い)思い出が表現されることになったわけです。
そう言えば、「絵本づくりサブミッション」の方で、「おべんとう絵本」を絵画療法に使っているという精神科医の先生の話が書いてありましたね。
興味のある人は買って読んでみてください。
それでは最後に、自己の内面をさらけ出す「おべんとう絵本」の実例をお見せしましょう。
なんだか個人的には切ない気持ちがよみがえったのですが、心のどこかでは「吐き出せたスッキリさ」みたいなものがあったことも事実で、じつに面白い体験になりました。
皆さんも「おべんとう絵本」を一度お試しになってみてはいかがでしょうか。
ネコヒート作「おべんとう絵本」
さて、最後におべんとう絵本の実作をみていただきますが、ブログだとスクロールして見ていくわけで、長谷川先生が仰る絵本の奥義「めくる効果」がほぼ無く読みづらいことをお断りしておきますね。
いずれ機会がありましたら、パワポなどのプレゼンツールで「めくる効果」が発揮できる形で再公開して見たいと思います。
それでは、わたしのトラウマがよみがえった「おべんとう絵本」をご覧ください。
おべんとう絵本「自転車がない」
表紙
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
おわり